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チェストボイス・地声の発声法と練習法

2017/02/28

こんにちは。
東京・吉祥寺 M&N Bit Of Sound ボイストレーニングスクール
ボイストレーナーのフルカワです。

今回は、【チェストボイス・地声の発声法と練習法】というお話です。

前回の記事と同じく、今回も専門用語についてのお話です。地声という言葉はボイストレーニング以外でもよく耳にする言葉ですが、チェストボイスという言葉を聞いたことのある方はあまりいらっしゃらないかもしれませんね。今回はそれぞれの言葉の意味や概念を説明しつつ、具体的な発声法や練習方法についてもお話していきたいと思います。

まず最初に、それぞれの言葉について(これも前回と同様に様々な考え方が存在しているので、簡潔に定義付けることができないのが心苦しいところではありますが・・・)説明していきます。この二つの言葉の持つイメージや概念はとても似ており、声帯を閉じる筋肉を働かせつつ声帯自体を分厚く短い状態にし、力強く太い声を出す時に使われる言葉であるという共通点があります。そういった声を出したときに胸のあたりが振動するような感覚を得られることからチェストボイス(chest voice)と呼ばれているんですね。元気な印象の楽曲やパワフルな印象の楽曲の、その中でも特に盛り上がった箇所を歌うときに用いられることが多いですし、舞台や壇上で比較的大き目の声で話している時や、腹を抱えて大声で笑っている時など、迫力のある声を出す時に使う発声法だと思っていただけるとわかりやすいかと思います。

あえてこの二つの言葉の違いを表すとすれば、チェストボイスは歌唱発声において使われる言葉であり、地声は歌だけでなく話し声やマイクを通さない声においても使われる言葉であるという点です。地声という声の出し方の中に、チェストボイスという具体的な発声法が含まれている、とも言えますので、全くもって同じ意味の言葉だというよりは、地声という言葉の方が概念が広いものなんだと理解していただければと思います。

次に、地声やチェストボイスで歌うことのメリットとデメリットについてですが、まずはメリットについて。地声で歌うことによってパワフルな声が出せるようになりますので、表現の幅が広がります。裏声だけで歌ってしまうと、抑揚がつけにくかったり低い音で弱々しくなったり、歌詞が伝わりにくくなってしまうことがありますが、そこで地声を使ってあげることで音量や声質に幅をもたせるだけでなく、ストレートに歌詞を伝えることができるようになります。合唱などを経験されていらっしゃる方の中には、「地声は良い声ではないので使わないように!」なんていう指導を受けたことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、決してそんなことはありません。しっかりとトレーニングして正しく出せている地声は、ポップス系の歌を歌うときには必要不可欠なものです。上手に使いこなせるようになりたいですね。そしてデメリットですが、地声にこだわり過ぎてしまうと、ノドや声帯の周りの筋肉に必要以上に負荷をかけてしまう可能性があるということです。高い声になったら張り上げて出そうとせずに裏声に逃げられるようにするとか、そもそも高い音をパワフルに鳴らすということはとても難しいので、そういった箇所が出てくるような楽曲を歌う場合にはあらかじめキーを下げておくことも大事だと思います。原曲キーで歌えないと負け、だなんていう話もちらほら耳にしますが、決してそんなことはありませんよ。自分にあったキーで、自分の良い部分がたくさん出るように工夫しながら歌うようにしましょう。

練習方法としては幾つかあるのですが、代表的なものを二つ紹介します。まずは声帯を閉じる練習です。しっかりと息を吸った後、吐き出しながら途中で止めてみると、ノドの奥の方で何かが閉じるような感覚があると思います。それが声帯がぴったり閉じている感覚です。この感覚をまずはしっかりと身につけましょう。次にエッジボイス(ボーカルフライ)という発声法です。これは『呪怨』というホラー映画で登場して有名になった、ノドの奥の方が「カタカタカタカタ・・・」となる発声法であるといえば、わかる方にはわかるかもしれません。これは先ほどの声帯を閉じる練習の流れでできる練習法で、息を止めて声帯を完全に閉じた後にほんの少しだけ声を出してみると鳴らすことができます。上手に鳴らせたら、そのまま発声につなげていく練習をしてみて、息漏れが少なく力強く太い声を出せたらそれが地声です。いろいろ試して探ってしてみてくださいね。

一つ注意したいのが、地声やチェストボイスの練習は力の加え方が難しいという点です。先ほど書いたように、地声の練習というととにかく声を張り上げて力づくで出してしまおうとしがちです。力強い大きな声が出ているからといって、その声が理想的な発声になっているとは限りませんし、力が入らなさすぎてもきちんとした地声にはなりません。トレーナーと共に確認しながら丁寧に進めていっていただければと思います。

それでは!今日も良いボイトレを!