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リズムの重要性 〜日本語ラップのすすめ〜

2019/09/01

こんにちは。東京のボイストレーニングスクールM&N Bit Of Sound講師の古川淳一先生の写真
東京・吉祥寺 M&N Bit Of Sound ボイストレーニングスクール ボイストレーナーのフルカワです。
今回は【リズムの重要性 〜日本語ラップのすすめ〜】というお話です。

正しいボイストレーニングを行うことで、正しい発声を心がけながら音程を丁寧に取っていくことや、声の大小を上手に調節しつつ抑揚などの様々な表現法を使いこなすことなど、様々な観点からのレベルアップを期待することができます。しかし、表題にも書きましたが、リズムの重要性について盲点になってしまっておられる方も意外と多いと感じましたので、今回はそこを少し掘り下げて、練習法なども具体的にお話ししようと思います。

リズムに関しては以前にも【テンポとリズム】という記事でも書きましたので、お時間があれば読んでいただき、リンクされた動画も見ていただけると、今後の内容がよりスムーズに理解していただけると思います。

私は個人的には、楽曲を歌いこなす上で重要なのは、音程よりもリズムだと思っています。リズムが抜群に良ければ、少々の音程のズレは個性的だとか「味がある」という感じでポジティブに反応してもらえますが、リズムが疎かになっていると、些細な音程のズレがとても気持ち悪く感じられてしまい、反応は総じてネガティブなものになってしまいます。また、歌の表現法の中で重要な「抑揚」には三つのアプローチがあると思っていて、音量の大小、音程の高低、そしてリズムです。最初の二つ、音量や音程に関しては理解や実践ができている方が多いですが、リズムがタイト(正確)なのかルーズ(おおらか)なのかによって聞こえ方が全く変わってくるというところまでは、なかなか難しくて理解できていない、表現しきれていない方が多い印象です。音程の正確さ、抑揚などの表現力、それに加えてリズミカルに声帯を動かせるようになることも、楽曲を歌いこなす上でのボイストレーニングの重要なテーマです。思い通りに声帯を動かせるようになるべく、しっかり練習していきましょう。
そんなリズムを良くする練習で、ボイストレーニング以外にも良い方法があります。それが日本語ラップを聞くという方法です。HIPHOPやラップというと、見た目怖そうな人たちがイケイケなビートの上でワルいこと自慢をしたり、ラッパー同士でディス(口喧嘩)しあったり、バイブスだなんだでノリが荒くて主張がゴリゴリに強くって、そもそも日本語でラップってなんかダサくない??などの様々なネガティブイメージを持たれてる方も多いと思いますが、ここは音楽の趣味趣向は一旦置いといて、まずは騙されたと思って、お勉強のつもりで聴いていただければ幸いです。

聴いていくポイントとしてはもちろん、メロディーが無い、即ちリズムやグルーヴ重視であるという点です。メロディーが無いぶん、当然ラッパーさんたちのリズムの感じ方や言葉の置きドコロが、その楽曲のスピード感や雰囲気を決めていきます。声の大きさや高低だけでなく、リズムによる緩急やそれに伴う音程の変化(専門用語で「フロウ」なんて言ったりします)を織り交ぜながら、さらにそこへ言葉遊びとして韻を踏んでいったりすることでその楽曲に深みが出ます。ただただ喋るような感じで単調にラップするのではなく、ビートの波に上手に乗せることで、聴きやすさや面白さ、そのラッパーさんの個性なんかが出てくるわけですね。普通にポップスを歌うのであればカラオケ(ボーカル無し)のトラックに乗せて歌ったりしますが、ラップミュージックは一緒になってキメの部分を口ずさんでみたり、全体をまるっとコピーして一緒にラップする練習をしていくことで、リズム感がとても磨かれるのではないかと思っています。

それでは参考音源を幾つかリンクしておきます。どちらかというとゴリゴリなものではなく、馴染みの薄い方やアレルギーのある方にも比較的聴きやすいものを中心に選曲してみました。ゆったりとリズムに身体を委ねながら聴いていただければと思います。
・鎮座Dopeness × 環Roy × U-zhaan

『サマージャム’95』 https://www.youtube.com/watch?v=Ir8xLSoz8VI

『七曜日』 https://www.youtube.com/watch?v=WM1RfwXESKk

『BUNKA』 https://www.youtube.com/watch?v=XoBzp0CvJ50
鎮座Dopenessと環Royという二人のラッパーと、U-zhaanというタブラ奏者のユニットです。タブラの音色を中心に作り上げられたビートの上に、軽快なゆる〜いラップが乗っかって独特のリズムを生んでいます。夏にぴったりの一曲目から、珍しい七拍子の二曲目、そしてHIPHOPとインド音楽の歴史を超早口で紐解いていく三曲目。どれも個性的で素晴らしいですね。ビートの上に乗っかる言葉が気持ちよいリズムを生んでいます。ちなみにこの三人は坂本龍一さんや矢野顕子さんともコラボレーションしていたりもします。興味のある方は探してみてくださいね。

・Creepy Nuts(R-指定&DJ松永)

『みんな違って、みんないい。』 https://www.youtube.com/watch?v=Mqb5YGZJ0x0

『未来予想図』 https://www.youtube.com/watch?v=PP-txvj87sQ

UMBというフリースタイルラップバトルの日本一を決める大会で三連覇を経験しているラッパーR−指定と、DMCというこちらもDJの日本一を決める大会の2019年の優勝者であるDJ松永のユニットCreepy Nuts。今、名実ともに日本一のラッパーとDJのコンビです。一曲目はタイプの異なる様々なラッパーのモノマネ?を器用にこなし、二曲目は一転して感情に訴えかけるようなシリアスなラップを見事に決めています。R−指定の超絶スキルに注目です。
・韻シスト

『STUDIO韻シスト #4 FORK&SURRY』 https://www.youtube.com/watch?v=3TtPYRpzsGE

『STUDIO韻シスト #6 鎮座DOPENESS&チプルソ』 https://www.youtube.com/watch?v=h2hOFUO_IXY

韻シストは、BASIとサッコンの二人のラッパーに、ギターのTAKU、ベースのSHYOUDOG、ドラムのTAROW-ONEを加えた五人組HIPHOPグループです。ここに挙げた動画は先ほどまでと少し違うタイプのもので、音源ではなくフリースタイルセッションの映像になっています。韻シストが毎回ゲストを呼んでセッションをするのですが、ゲストが誰かは聞かされていないようで、その場のノリで即興で様々な展開を生み出している様子がとても面白くて、中でも私が神回だと思った動画を二本挙げてみました。BASIとサッコンはもちろん、ゲストラッパー陣も個性派な凄腕ばかりで楽しいです。ちなみに鎮座DOPENESSは二度目の登場です。楽しいです。

<番外編>

・Nakamura Emi

『YAMABIKO』 https://www.youtube.com/watch?v=BGVUiMskx_U

『チクっ』 https://www.youtube.com/watch?v=FmqOhXemRPk

ラップ・・・ではないっちゃあないんですが、ラップにかなり近い感じで可愛らしくスピーディーにグルーヴィーに歌い上げていて、HIOHOPから大きな影響を受けているであろうボーカリスト、Nakamura Emiさんです。このスピード感はなかなか簡単に真似できるようなもんではないですし、何気に発声もとっても気持ち良くて、私の周りにもファンが多いです。同い年らしいです。

・Will Smith

『Summertime』 https://www.youtube.com/watch?v=Kr0tTbTbmVA

『Wild Wild West』 https://www.youtube.com/watch?v=_zXKtfKnfT8

日本語からもかけ離れてしまいましたが、あのハリウッド俳優Will Smithは、実はラッパーでもあったということをどうしてもお伝えしたくて紹介いたしました。一曲目は若かりし頃に、The Fresh Princeという名義で出した音源。二曲目はStevie Wonderの『I Wish』という楽曲をサンプリング(引用)しています。きっとお芝居の中でのセリフの言い回しがバリエーション豊富でリズミカルなのも、このラッパーとしての、ミュージシャンとしての素地があるからなんだろうなと、お芝居は素人ながらに思ってたりします。
いかがでしたでしょうか。ご自身の歌に活かせそうなヒントは見つかりましたでしょうか。色んなタイプのラッパーさんがいらっしゃいますが、やはりシンガーやボーカリストには無い、独特なリズムの感覚を持っている方が多く、そこに深いこだわりを感じざるをえません。音程や音量だけでなく、リズムでも遊ぶことができるような、柔軟な感性と声帯の動かし方を身につけて、より一層リズムを深く理解していっていただければと思います。【フリースタイルダンジョン】だったり【ヒプノシスマイク】だったり、まだまだ関連する話したい内容がたくさんあったのですが、今日はここまで。次回をお楽しみに!