チェストボイス・地声の実例
2017/03/13
こんにちは。 今回は、【チェストボイス・地声の実例】というお話です。 先週に引き続いての内容となります。様々な具体例(動画)を挙げて検証していきたいと思います。ここで挙げる動画は全てライブ音源です。チェストボイスや地声を巧みに使っているボーカリストの歌を挙げてみました。 観ていただく前に注意していただきたいポイントがあります。それは、この動画の全てに当てはまることなのですが、歌っているボーカリストがチェストボイスや地声を全編で使い続けているわけではないという点です。時に裏声を混ぜてみたり、この講座でも後々解説することが予定されているハーフトーンボイスが使われていたりと、様々です。それぞれの動画の聴きどころも書いていきますので、楽しみながら見ていただければと思います。 まずは男性ボーカルから。地声で歌うボーカルと聞いて私が個人的に真っ先に思いついたのが、ご存知 Freddie Mercury です。特にサビの直前からサビにかけてが地声です。無理なく無駄なく、それでいて力強い。素晴らしい発声だと思います。サビでは裏声も使っていますし、しゃべっているような箇所もありますが、とにかく前へ前へ突き抜けるような声ですね。 Queen – We Are The Champions 次に Billy Preston の1975年のライブ動画です。イントロがとても有名な曲なので、耳にしたことのある方も多いんじゃないかなと思います。疾走感あふれる演奏に負けないド迫力の声。特にホーンセクションにも存在感で引けを取らない地声が聴きどころです。終始ハイテンションで、聞いているこちらも思わず身体が動きます。 Billy Preston – Nothing From Nothing 続いては比較的新しめの楽曲から。Aloe Blacc の2013年の楽曲です。世界的なDJである Avicii との共作のバージョンもよく知られているので、ご存知の方も多いと思います。このライブバージョンではアコースティックギターを中心としたシンプルなサウンドの中に、落ち着いた低めの伸びやかな声が響きます。間奏や最後のサビの後のとても力強いロングトーンが心地良いです。 Aloe Blacc – Wake Me Up 最後に大御所二人のデュエットです。三大テノールの一人 Luciano Pavarotti と、ソウルレジェンド James Brown という異色の組み合わせ。前者はクラシックのチェストボイス(胸声)で後者はポップスの地声と発声法の違いはありますが、そんなの関係なく非常に素晴らしいです。ある種参考にならないくらいの圧倒的なパフォーマンスなので、耳の肥やしにしていただければと思います・・・。 Luciano Pavarotti ft. James Brown – It’s man’s world そして女性ボーカル。まずは Christina Aguilera です。Leon Russell の名曲を大御所ジャズピアニストの Harbie Hancock と共にカバーしています。歌い出しから分かりやすく力強い声を出していますね。なかなかこの感じを出せる女性ボーカルは少ないのかなと思います。ジャズというとても自由な音楽の中で、しなやかで、それでいて力強く響く歌声が聴きどころですね。 Harbie Hancock ft. Christina Aguilera – A Song For You 続いては Dionne Warwick の1983年のライブ動画です。この楽曲は Bobby Caldwell のカバーになるのですが、アレンジはもちろん、パワフルでダイナミックな歌声に圧倒されます。安定感抜群の地声ですが、あの We Are The World にも参加してたり、Whitney Houston の従姉妹にあたる人だったり、息子さんとのデュエット音源も素晴らしかったりします。関連する他の動画もチェックしていただければと思います。 Dionne Warwick – What You Won’t Do For Love そして Whitney Houston です。数ある名曲の中で、ここは私が個人的に大好きな曲を選曲しました。ストレートに抜けていく声だったり、ところどころ”がなって”いる部分があったり、優しいハーフトーンボイスやファルセットを効果的に織り交ぜて抑揚をつけてくるあたり、スタンディングオベーションも納得です。特にBメロにあたる部分や、サビの後半のハイトーンが聴きどころですね。 Whitney Houston – The Greatest Love Of All 女性ボーカルの最後もデュエットなんですが、こちらは男女のデュエットです。ジャズのスタンダード Summertime を Jill Scot と George Benson がソウルフルに歌い上げています。途中でスキャットのセクションを挟む三部構成となっていますが、スキャットからのテンションの上がりっぷりは最高ですね。George Benson はギタリストでもあるので、メロディーラインの崩し方がギターソロっぽくなっているあたりも聴きどころです。 Jill Scott & George Benson – Summertime いかがだったでしょうか。全てのボーカルに共通して言えるのが、最初の Freddie Mercury の部分にも書いたように、無理なく無駄なく、それでいて力強い発声だということです。ここに挙げた動画のボーカリストの歌い方を真似して歌ってみることにトライされる際には、くれぐれも頑張り過ぎにだけは注意してくださいね。 それでは!今日も良いボイトレを! |